大阪府警察障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員の対応規程の制定について

例規(総)第24号
平成28年3月25日
各所属長殿
総務部長

大阪府警察障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員の対応規程の制定について(依命通達)
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)の制定に伴い、大阪府警察障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員の対応規程(平成28年訓令第11号。以下「規程」という。)が制定され、平成28年4月1日から施行されることとなった。
この規程の運用においては、次の事項に留意の上、所属職員に対し、その周知徹底を図られたい。
第1定義
この例規通達における用語の意義は、規程に定めるところによる。
第2不当な差別的取扱い(第3条関係)
1不当な差別的取扱いの基本的な考え方法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービス及び各種機会の提供を拒否し、又は提供に当たって場所、時間帯等を制限すること、障害者でない者に対しては付さない条件を付けること等により、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱い及び合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。
このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。
2正当な理由の判断の視点
前記1に規定する正当な理由の判断の視点は、次のとおりとする。
(1)正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービス及び各種機会の提供を拒否する等の取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合である。
(2)大阪府警察においては、正当な理由に相当するか否かについて、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈する等して法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障害者及び第三者の権利利益(例えば、安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び大阪府警察の事務又は事業の目的、内容及び機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面及び状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。
(3)大阪府警察職員(以下「職員」という。)は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
3不当な差別的取扱いの具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例としては、次のようなものが考えられるが、これらは、正当な理由が存在しないことを前提としていること及びあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。
なお、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、前記2に示すとおり、個別の事案ごとに判断されることとなる。
(1)障害を理由に窓口対応を拒否する。
(2)障害を理由に対応の順序を後回しにする。
(3)障害を理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。
(4)障害を理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。
(5)事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁、説明会等の際に付添者の同行を求める等の条件を付したり、特に支障がないにもかかわらず、付添者の同行を拒んだりする。
第3合理的配慮(第4条関係)
1合理的配慮の基本的な考え方
(1)障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号。以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。また、法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。したがって、合理的配慮は、大阪府警察の事務又は事業の目的、内容及び機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること並びに事務又は事業の目的、内容及び機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。
(2)合理的配慮は、障害の特性、社会的障壁の除去が求められる具体的場面及び状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、後記2の(1)のアからウまでに掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。
なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減及び効率化につながる点は重要である。
(3)意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、音声、絵カード、拡大文字、筆談、実物の提示、身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達等、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合等、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白であるときには、法の趣旨に鑑み、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかける等、自主的な取組に努めることが望ましい。
(4)合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
(5)大阪府警察がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、規程を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。
2過重な負担の基本的な考え方
(1)過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈する等して法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、次の要素等を考慮し、具体的場面及び状況に応じて総合的かつ客観的に判断することが必要である。
ア事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容又は機能を損なうか否か)
イ実現可能性の程度(物理的若しくは技術的な制約又は人的若しくは体制上の制約)
ウ費用又は負担の程度
(2)職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。
3合理的配慮の具体例
合理的配慮の具体例としては、次のようなものが考えられるが、これらは、前記2の過重な負担が存在しないことを前提としていること及びあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。
なお、合理的配慮については、前記1に示すとおり、具体的場面及び状況に応じて異なる多様かつ個別性の高いものであることに留意する必要がある。
(1)合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例
ア段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする、携帯スロープを渡す等する。
イ配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡したり、パンフレット等の位置をわかりやすく教える。
ウ目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後、左右及び距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。
エ障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。
オ疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際に、別室の確保が困難であったことから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設ける。
カ不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。
キ災害や事故が発生した際に、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害者に対し、手書きのボード等を用いて、わかりやすく案内し、誘導を図る。
(2)合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例
ア筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。
イ会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ること及び点字版では図表がないことに留意して使用する。
ウ視覚障害者に会議資料等を事前送付する際に、読み上げソフトに対応した電子データで提供する。
エ意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。
オ窓口等で通常は口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。
カ書類記入の依頼時に、記入方法等を障害者の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりする。また、障害者の依頼がある場合には、代読及び代筆といった配慮を行う。
キ比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩、暗喩、二重否定表現等を用いずに具体的に説明する。
ク障害者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記する等の配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。
ケ会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な障害者に対し、ゆっくり、丁寧な進行を心がける等の配慮を行う。
コ会議の進行に当たっては、職員等が障害者の特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行う。
(3)ルール・慣行の柔軟な変更の具体例
ア順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替える。
イ立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室又は席を用意する。
ウスクリーン、手話通訳者、板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。
エ車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。
オ他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、発作等がある場合は、当該障害者に説明の上、障害の特性及び施設の状況に応じて別室を準備する。
カ非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害者の理解を援助する者の同席を認める。
第4その他
1障害者へ適切に対応するために活用するマニュアル等の内容は、大阪府と共有する情報が具現されたものとなるよう、大阪府との連携に努めるものとする。
2前記第2及び第3において、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できる限り取り組むことが望まれることを意味する。