大阪府警察施設類型別計画

大阪府警察施設類型別計画
平成28年9月
大阪府警察

はじめに

警察施設は、建物と交通安全施設(インフラ)に大別され、さらに建物は、施設規模や財産目的で細分すると、本部庁舎及び警察署、交番及び駐在所、待機宿舎の3つに区分される。したがって、本計画は、区分ごとの整備計画とし、建物の3編と交通安全施設を合わせた4編構成とする。

本計画は、平成27年11月策定の「大阪府ファシリティマネジメント基本方針(以下「FM基本方針」という。)」に示された各施設ごとの取組方針を定めた計画「施設類型別計画」と位置づけ、警察活動の基盤となる警察施設を最適な状態で維持、管理及び運営するための計画とする。

なお、待機宿舎は、「大阪府警察待機宿舎整備基本計画(整備期間は平成35年度まで)」に基づき、FM基本方針に先行して、待機宿舎の整理統廃合を推進していることから、その一部を修正(長寿命化への取組の追加等)し「施設類型別計画」として位置づける。

平成28年9月
大阪府警察

本部庁舎及び警察署編

第1 目的等
1 目的
本編における対象施設は、本部庁舎及び警察署であり、本計画は、これらを最適な状態で維持、管理及び運営するための整備計画である。
本計画の取組期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間とし、取組の進捗状況を毎年度検証し、おおむね3年が経過した時点で必要に応じ見直す。

「本部庁舎」とは、本部本庁舎、本部別館をいい、「本部別館」とは、関目別館庁舎、新北島別館庁舎、芦原別館庁舎、中崎町別館庁舎、森之宮別館庁舎、りんくうタウン別館庁舎、総合訓練センター庁舎、第一方面機動警ら隊庁舎、航空隊庁舎、門真運転免許試験場庁舎、光明池運転免許試験場庁舎等本部本庁舎以外の本部施設をいう。

2 役割
本部庁舎及び警察署は治安を維持するために不可欠な施設であり、特に本部本庁舎(大阪市中央区)はその中枢となる施設である。また、警察署は、第一線における警察活動の拠点として留置施設、取調室等、警察特有の設備を有しているとともに、災害発生時には、被災者等の救出・救助活動等における拠点としての機能も有しており、いずれの施設も、府民の安全・安心を確保するために極めて重要な役割を担った施設である。

3 警察署の基準
警察法施行令(昭和29年6月19日号外政令第151号)第5条
(警察署の名称等の基準)
第5条 法第53条第4項に規定する警察署の名称、位置及び管轄区域の基準は、次のとおりとする。
一 警察署の名称は、(以下省略)。
二 警察署の位置は、管轄区域内の住民の利用に最も便利であるように、他の官公署との連絡、交通、通信その他の事情を参しゃくして決定すること。
三 警察署の管轄区域は、警察の任務を能率的に遂行することができるように、人口、他の官公署の管轄区域、交通、地理その他の事情を参しゃくして決定すること。

第2 現状と課題
1 現下における警察情勢
(1) 治安情勢
現下の治安情勢をみると、刑法犯認知件数は平成13年をピークに減少しているものの、ストーカー事案、児童虐待、配偶者からの暴力事案が増加傾向にあることに加え、来日外国人犯罪の増加、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の被害も拡大している。また、平成27年中における人口10万人当たりの刑法犯の犯罪率は全国ワースト1位であるほか、110番受理件数も増加傾向にあることから、犯罪情勢は依然として予断を許さない状況である。ほかにも、暴力団抗争、サイバー犯罪、イスラム過激派等による国際テロ、南海トラフ地震による被害想定等、社会情勢の変化に伴う治安上の課題も深刻化している。

(2) 人員体制
治安維持のため、大阪府警察官の定員は、平成14年度から平成25年度の12年間で1,800人が増員され、これに合わせ警察署の体制にあっても配置定員の見直し(増員)により体制強化を図ってきた。さらに、警察庁では、ストーカー・DV事件や特殊詐欺事件への対策強化及び2020年東京五輪に備えるため、平成27年度から3年間で全国警察官を3,000人増員することとしており、このうち大阪府には、平成27年度63人、平成28年度66人が増員されている。

【参考】
大阪府は、例年「国の施策並びに予算に関する最重点提案・要望」において、警察官の更なる増員を国に対し要望している。

(3) 来庁者の状況
警察署は、存在そのものが府民に安心感を与えることはもとより、犯罪抑止に大きく貢献しているところ、府民の利用状況をみると、刑事事件、交通事故、警察相談等の関係者以外にも、運転免許、遺失・拾得、車庫証明等の手続で利用する府民もいる。その利用者は、年間200万人以上(平成26年中)にものぼり、刑事事件等の関係者も合わせると多数の府民が利用している状況にある。
 
2 警察施設の現状
(1) 施設の状況
本部本庁舎は、平成19年に建設され、地上9階(一部10階)・地下3階、延面積は118,198平方メートルとなっており、通信指令室、交通管制センター、燃焼実験室、ヘリポート等の警察本部特有の機能を有しているとともにコージェネレーションやエコアイスを導入することにより環境性や省エネルギー性に配意された施設となっている。
一方、警察署は、平成28年4月1日現在、65署が設置されているが、建替中の4署を除くと、建築後30年を経過している警察署は36署、このうち40年を経過している警察署は17署となっている。設備環境をみると、エレベーターの設置がない警察署が40署、車いす用トイレの設置がない警察署が16署となっている。

(2) 整備等の状況
ア 更新等の状況
大阪府の治安情勢や府民要望等に鑑み、平成に入ってからは、
○ 平成元年、泉北警察署(現在の南堺警察署)
○ 平成2年、摂津警察署
○ 平成6年、関西空港警察署
○ 平成22年、新北島別館庁舎
○ 平成24年、交野警察署
の新設を行ってきた一方で、大阪府から廃止施設の所管替えを受け警察施設としての有効活用も図ってきたところ、近年では、
○ 平成17年、旧住宅管理センターを廃止し、駐車管理センター※1
○ 平成21年、旧大阪府職員運動広場を廃止し、舞洲警察活動センター
○ 平成23年、旧大阪府福祉人権推進センターを廃止し、芦原別館
○ 平成27年、旧大阪府森之宮庁舎を廃止し、森之宮別館
としてそれぞれ運用を開始し、「安全なまち大阪」を確立するために取り組んできた。
現在においては、豊中、天満及び平野の3署の建替工事を実施しており、東住吉警察署の建替えにも取り組むこととしている。また、平成26年度から淀川警察署の敷地内に第二方面機動警ら隊庁舎※2の新設、平成27年度から南警察署別館※3 の新設にも着手している。

※1 駐車管理センターは、現在大阪府咲洲庁舎に移転、旧駐車管理センターは売却している。
※2 第二方面機動警ら隊は、淀川警察署の本館の一部に併設されている。淀川警察署は 本館と別館で構成されているが、別館は耐震性能不足により平成28年度に撤去することとしている。このため、別館に替わる施設として第二方面機動警ら隊の庁舎を新たに建設し、完成後は、第二方面機動警ら隊が使用している本館執務室に淀川警察署別館の機能を移設するものである。
※3 南警察署は、警察官の増員等により、狭隘化が著しい状態となっていることから、その施設環境を改善(緩和)するために、南警察署の近隣に別館を建設するものである。

イ 耐震化への取組状況
平成18年度から「府有建築物耐震化実施方針(平成19年3月12日)」に基づき、現行の耐震基準と同等の耐震性能を有しない本部庁舎や警察署(構造耐震指標Is値が0.6未満の建築物)について、建替え、耐震改修、移転、撤去のいずれかの手法により優先的・計画的に耐震化を実施してきたところ、建替え(平野警察署)以外の手法による耐震化については、平成27年度をもって完了している。

ウ コスト縮減への取組状況
平成17年度から門真運転免許試験場においてESCO事業を実施しているが、平成27年2月策定の「新・大阪府ESCOアクションプラン」に基づき、平成28年度から警察署でESCOサービスを開始している。
照明のLED化更新及び空調機の熱源更新等の整備により、省エネルギー化及び地球温暖化防止対策を図るとともに、光熱水費の削減によるコスト縮減にも取り組み、ESCO事業を効果的に推進する。
○ 平成28年度開始
東、南、大正、西成、東淀川、羽曳野、寝屋川及び堺の8警察署
○ 平成29年度開始予定
東成、阿倍野、箕面、富田林及び黒山の5警察署

ESCO(Energy Service Companyの略)事業とは、既存庁舎等を民間の資金とノウハウで省エネルギー化の改修を行い、省エネルギー化による光熱水費の削減分で改修工事に係る経費等を償還し、残余を大阪府とESCO事業者の利益とする事業

エ 維持管理の状況
維持管理は、外壁の損壊や設備機器の故障等の不具合が発生してから補修対応を実施する、いわゆる事後保全に頼っているものとなっており、今後、施設の著しい機能低下につながる可能性がある。すでに一部の施設では、空調機等の設備機器が故障しても部品の製造が終了している等により、補修対応ができず更新せざるを得ない状況が発生している。
また、保全に投資する当面の経費が十分でないため、施設のライフサイクルコストとしては結果的に多額の費用を投じる可能性も想定される。

3 課題
(1) 警察署における老朽化・狭隘化等
警察署は、24時間・365日休みなく稼働し、多数の府民が利用する施設であるにもかかわらず、多くの警察署で老朽や狭隘等の課題を抱えており、最適な施設環境とは言い難い状況である。このため、安全性や利便性を高めるよう計画的に改善していく必要がある。
ア 老朽化
警察署は、老朽化が進んでおり、特に経過年数の長い警察署にあっては、その傾向が顕著である。建築基準法上の法定点検の結果、老朽化の主な状況として、
○ 外壁:ひび割れ、浮き、剥離等
○ 屋上:漏水、ひび割れ、シール劣化等
○ 鉄部等:腐食、発錆、塗装劣化等
が見られる。また、外壁の崩落や屋上からの漏水等が度々発生しているほか、空調機や電気設備の障害も頻繁に発生している。

イ 狭隘化
建築当時に比べ警察事象が増加してきたことから、警察官の増員や装備資機材の増強等により、警察力の充実・強化を図っていることに加えて、捜査書類等の保管物件も増加していることから、これらの影響を受け、警察署の狭隘化が著しく進行している。
狭隘の度合いをみると、現有の延面積と必要とする延面積※4 を比較した場合、現有面積が必要面積にも満たない警察署が多数ある状況である。特に、古い警察署ほどその傾向は強く、極めて深刻な問題である。
狭隘による支障は多方面にわたり生じているが、一例を述べると、次のとおりである。
○ 捜査本部(犯罪捜査規範(昭和32年7月11日国家公安委員会規則第2号)第22条)設置の必要が生じた場合、活用できる執務室等がなく、本来の使用目的から逸脱するが、柔道場、食堂、当直室等を充当している。
○ 警察官の増員に伴い、執務室が狭隘となっているのはもとより、更衣室の狭隘化も著しく、更衣室内にロッカー等が収まらないことから、通路等の公共スペースを侵食せざるを得ない状況である。一方、プライバシーの保護に努めなければならない事件関係者についても、個室等のスペースも不足していることから、プライバシーに配慮しつつ、執務室の一角や公共スペース等で対応している状況である。
○ 犯罪や大規模災害等に対応するための装備資機材が増加しているが、倉庫の保管スペースが不足し、容量を超過していることから、機械室等を利用している。
○ 捜査書類等を保管するスペースも不足していることから、機械室等を代用している。また、平成26年度に証拠品係を設置の際、既存の執務室の間仕切りや倉庫等の改修等により、新たに執務室等を確保したが、狭隘に拍車をかけた状態になっている。

※4 警察庁通達に基づく施設補助金新営基準(各警察署の定員を基に算出)に大阪府として必要な府民応接室や会議室等を加えた面積を「必要とする延面積」としているが、各警察署ごとの特殊事情を考慮せず均一に積み上げた最小規模の面積である。
  
ウ 警察署におけるバリアフリー化の未整備等
障がい者や高齢者等が円滑に移動するためには、
○ 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年6月21日号外法律第91号)第14条第5項
(特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等)
第14条
5 建築主等(第1項から第3項までの規定が適用される者を除く。)は、その建築をしようとし、又は所有し、管理し、若しくは占有する特別特定建築物(同項の条例で定める特定建築物を含む。以下同じ。)を建築物移動等円滑化基準(同項の条例で付加した事項を含む。第17条第3項第一号を除き、以下同じ。)に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

○ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年6月26日号外法律第65号)第5条
(社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)
第5条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。

により、エレベーターや車いす用トイレの設置等、環境の整備に努めなければならないところであるが、バリアフリーに未対応の警察署がある。

(2) 維持管理
事後保全型の維持管理は、空調機や電気設備等の故障が発生しても、復旧に長期間(場合によっては複数年)要することとなり、また庁舎外壁の崩落や屋上からの漏水等は、事故につながる危険性もある。
このため、施設の老朽化に備え、府民等が安全に利用できるように、施設の点検体制の充実を図り、施設の不具合が発生する前に予防的に施設の改修や機器の更新等を行う仕組みを構築する必要がある。併せて、施設の長寿命化を図り、維持経費の軽減・平準化、トータルコストの縮減を目指す必要がある。
特に、本部本庁舎については、第一期棟の完成から14年が経過し、中央監視設備、非常用発電機、パッケージ型空調機等が設備更新等の時期を迎えており、各種機器等の更新に多額の費用が見込まれることから、維持経費の平準化等を踏まえた計画的な設備更新を進める必要がある。

第3 取組方針
1 長寿命化等に向けた取組方針
◇ 施設の更新時期については、建築後70年以上を目標とする。
◇ 長寿命化にあたっては、これまでの事後保全型の維持管理体制から予防保全型の維持管理体制への転換を図る。

(1) 長寿命化の検討
更新時期については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(鉄筋コンクリート造の事務所の耐用年数50年)を踏まえ、建築後おおむね50年で検討しているものを、建築後70年以上を目標とする。

(2) 更新等の検討
前述(第2の3(1))のとおり、警察署では老朽、狭隘等が喫緊の課題となっている。
したがって、
■ 点検・劣化度調査等を実施する中で、主要構造部のコンクリートの強度や中性化の進行を確認した結果において、劣化が著しい場合
■ 物理的な狭隘の度合が著しく高い場合
等、通常の維持・修繕を加えても、課題の解消、安全性や府民サービスの確保、多様化する警察ニーズへの対応ができない場合は、改修、増築、他施設の転用等で対応し、代替策がない場合は、建築後70年に満たない場合でも更新を検討する。
  
(3) 維持管理体制の転換及び計画的な改修
建築基準法上の法定点検の活用に加え、法定点検では把握できない設備等の劣化状況について、「FM基本方針」に示された劣化度調査及び施設管理者による日常点検を実施し、「中長期保全計画」及び「修繕実施計画」を策定し、「事後保全型」から「予防保全型」への維持管理体制の転換を図る。
計画的な改修として、建築後おおむね25年、50年を目処に、施設需要を踏まえた大規模改修の実施を検討する。また、ESCO事業による設備改修についても継続して検討を行い、コスト縮減に努める。

2 総量最適化・有効活用に向けた取組方針
◇ 施設の新設は、原則行わない。(新たなニーズに対応する場合は、既存施設の有効活用、転用を検討し、これらができない場合は、新設、増設を検討する。)
◇ 本格的な人口減少社会の到来に備え、治安情勢や人口動態の変化による個々の施設の需要見込みを踏まえ、次世代に継承可能な施設保有量を実現する。
◇ 人口動態や社会環境の変化等による新たな行政ニーズを的確に捉え、既存施設の有効活用による多機能化、転用等を進め、より少ない投資で柔軟に対応する。

(1) 総量最適化・有効活用への取組
前述(第2の2(2))のとおり、大阪府警察にあっては、治安情勢等に鑑み総量最適化や有効活用を図ってきた。
今後も、狭隘解消等の環境改善のほか、警察事象の変化等新たなニーズに対応する必要が生じた場合は、既存施設の有効活用、転用を検討し、これらができない場合は、新設、増設について検討するとともに、将来的な治安情勢や人口動態の変化を踏まえた施設の減築、集約等も検討することで、総量最適化・有効活用に取り組んでいく。

(2) 警察署の在り方の検討
今後、人口減少や人口構成が変化すると予想されているが、一方では外国人観光客が増加(平成27年推計値は、716万人で前年のほぼ倍増と公表)する等、社会情勢は変化している。
大阪府警察では、社会情勢、治安情勢に的確に対応していくため、通年において業務の合理化・効率化を図り、限られた人員で最大限の効果を発揮させるため、例年、組織及び配置定員の見直しを行っている。
特に警察署においては、地域性、特殊性を分析の上、変遷する治安情勢に敏感に対応するため、より効率的かつ効果的な業務運営に努めているところであり、今後においても、管轄区域の見直し、事案に応じた人員の再配置をはじめ、府下全域の治安情勢や人口動態を見据えた各警察署の在り方について是正・検討していくこととしている。

交番及び駐在所編

第1 目的等
1 目的
本編における対象施設は、交番及び駐在所(以下「交番等」という。)であり、本計画は、これらを最適な状態で維持、管理及び運営するための整備計画である。
本計画の取組期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間とし、取組の進捗状況を毎年度検証し、おおむね3年が経過した時点で必要に応じ見直す。

2 役割
交番等では、パトロールや巡回連絡等の様々な活動を通じて、地域住民の意見・要望に応えるべく、管轄する地域の実態を把握し、その実態に即した活動を行っている。また、昼夜を分かたず常に警戒体制を保ち、様々な警察事象に即応する活動を行うことにより、地域住民の安全と安心のよりどころとなり、府民の身近な不安を解消する機能を果たしており、地域の治安を維持するために不可欠な施設である。

3 交番等の設置基準
「地域警察運営規則(昭和44年6月19日国家公安委員会規則第5号)」第15条に、交番等設置の基準が規定されている。
大阪府警察においては、この基準を基に、地域環境や治安情勢、犯罪や交通事故の発生状況、人口、世帯数のほか、地域の面積、隣接する交番等との距離等を総合的に検討し、地域の安全を確保する上で必要であると判断される所について、交番等を設置している。

地域警察運営規則(昭和44年6月19日国家公安委員会規則第5号)
第二章 交番及び駐在所
(設置)
第15条 交番又は駐在所は、昼夜の人口、世帯数、面積、行政区画及び事件又は事故の発生の状況等の治安情勢に応じ、警察署の管轄区域を分けて定める所管区ごとに置くものとする。
2 交番は原則として都市部の地域に、駐在所は原則として都市部以外の地域に設けるものとする。

第2 現状と課題
1 交番等の現状
(1) 施設の状況
交番等は、平成28年4月1日現在、649か所※1(交番603か所、駐在所46か所、交番には署所在地交番(本署に組み込まれている交番)1か所、警備派出所2か所を含む。)が設置されているが、建築後30年を経過している交番等は350か所、このうち40年を経過している交番等は244か所となっている。
交番等については構造体が鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造、鉄骨造、軽量鉄骨造、木造と様々であり、耐用年数※2 は構造体により異なるが、耐用年数を経過した交番等は95か所(うち4か所についてはリフォームによる長寿命化実施済み)となっている。

※1 交番等は、前述(第1の3)のとおり、地域環境や治安情勢等について総合的に検討し設置しているところであるが、現在の大阪府における交番等1か所あたりの負担を全都道府県と比較すると、刑法犯認知件数で1位、110番(有効)受理件数で埼玉県に続く2位、人口で埼玉県、福岡県、神奈川県、愛知県に続く5位と上位に位置している。
※2 耐用年数は、財務省令「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を基準とする。
鉄筋コンクリート造は50年、コンクリートブロック造は41年、鉄骨造は38年、軽量鉄骨造は30年、木造は24年

(2) 整備等の状況
ア 更新の状況
(ア) 交番等の更新の考え方
○ 耐用年数経過交番のうち、施設の老朽化が著しい又は狭隘化が著しい等、交番の機能性が不十分なものについて、交番存続の必要性を検討の上、更新を実施している。
○ 公共工事等により移転の要請を受けた交番にあっては、耐用年数にかかわらず、当該事業による移転の必要性、交番存続の必要性等を検討の上、優先的に更新を実施している。
(イ) 近年の更新状況
649か所の交番等を計画的に更新していくために、平成24年度には13か所の更新を実施したが、厳しい財政状況により、平成25年度7か所、平成26年度7か所、平成27年度6か所の更新にとどまっている。(平成28年度は4か所更新予定)

イ コスト縮減への取組状況
次の項目について検討を続け、建築コストの削減を図っている。
(ア) 鉄骨造であったものを、軽量鉄骨造にすることで、鉄骨量の削減及び基礎工事コストの削減を図っている。
(イ) 交番仕様を配置人員等により細分化し、更新面積を縮減している。
(ウ) その他、ガス設備の廃止、建具の削減等を実施している。

ウ 維持管理の状況
維持管理は、外壁の損壊等の不具合が発生してから補修対応を実施する、いわゆる事後保全に頼っているものとなっており、施設の老朽化により外壁の剥離や落下、雨漏り、フェンスの傾き等が発生している交番等がある。
また、保全に投資する当面の経費が十分でないため、施設のライフサイクルコストとしては結果的に多額の費用を投じる可能性も想定される。

(3) 総量最適化・有効活用への取組状況
ア 交番等適正配置の検討
社会情勢や府民ニーズの変化及び複雑、多様化する警察事象に的確に対応するため、警察力の効率的かつ一体的な運用を目的とした交番等の統廃合や新設を行い、昭和43年当時956か所あった交番等が、現在は649か所となっている。

イ 交番仕様の細分化による延面積の削減
前述((2)イ(イ))のとおり、配置人員等により仕様を細分化し、小規模交番におけるシャワー施設の廃止等、延面積の削減を図っている。

ウ 駅ビル等民間施設への組込み
周辺の開発に伴い、交番の視認性、機能性等を確保した上で、駅ビル等民間施設への組込みを実施している。

2 課題
(1) 交番等における老朽化等
交番等は、24時間・365日休みなく稼働している施設であるが、多くの交番等で老朽や狭隘等の課題を抱えており、最適な施設環境とは言い難い状況である。
このため、安全性や利便性を高めるため計画的に改善していく必要がある。
ア 老朽化
交番等は、老朽化が進んでおり、特に経過年数の長い交番等にあっては、その傾向が顕著である。施設規模が小さいため、建築基準法上の法定点検の対象外となっているが、勤務員等による目視点検の結果、老朽化の主な状況として、
○ 外壁のひび割れ、浮き、剥離等
○ 建具等の腐食、発錆、塗装劣化等
が見られる。また、外壁の崩落※3や屋上からの漏水等が度々発生している。

※3 幸いにも人的被害の発生は無いものの、経年劣化のため壁面モルタル約4平方メートル(重量約200キログラム)の崩落、壁面設置の掲示板の落下等、府民に重大な危害を及ぼすおそれのある損壊が発生している。

イ 狭隘化
多様化する警察事象に的確に対応するため配置人員の増加や装備資機材の増強等により、狭隘化が著しい交番※4がある。

※4 大阪府警察において、更新時最小基準としている広さに満たない交番が93か所ある。

ウ 交番等におけるバリアフリー化の未整備等
「大阪府福祉のまちづくり条例(平成4年10月28日大阪府条例第36号)」の施行以前に更新・新設された、来庁者利用部分のバリアフリー化※5がなされていない交番等が465か所となっている。
このため、施設環境の整備に努めなければならないところ、狭隘な交番にあっては、改修等によるバリアフリー化が困難な状況にある。

※5 段差の解消、車いす回転スペースの確保、インターホンの設置等をいう。

(2) 維持管理
事後保全型の維持管理は、交番等の外壁や屋上等からの雨漏りが発生してからの対応となり、漏水を原因とした外壁の浮き等の蓄積により、外壁の崩落等府民に危害を及ぼす事故につながる危険性もある。
このため、施設の老朽化に備え、府民等が安全に利用できるように、施設の点検体制の充実を図り、施設の不具合が発生する前に予防的に施設の改修を行う仕組みを構築する必要がある。維持経費の軽減・平準化、トータルコストの縮減を目指すために、予防的な維持管理体制の構築が必要である。

(3) 計画的な更新の必要性
交番等については、施設規模が小さいながらも649か所という多数の施設があることから、更新整備コストの平準化を図るためにも、計画的に更新を進める必要がある。
特に、昭和56年の建築基準法改正以前の旧耐震基準施設や、木造、コンクリートブロック造等元々の耐用年数が短い構造体で、耐用年数を経過した施設については、近い将来に発生が危惧される南海トラフを震源とする東南海地震のほか、大規模風水害等の発生時には防災活動の要となるべき交番等が倒壊し、機能しなくなるおそれもあることから、更新について検討する必要性が高い。

第3 取組方針
1 長寿命化等に向けた取組方針
◇ 施設の更新時期については、建築後70年以上を目標とする。
◇ 長寿命化にあたっては、これまでの事後保全型の維持管理体制から予防保全型の維持管理体制への転換を図る。
(1) 長寿命化の検討
更新時期については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(鉄筋コンクリート造の事務所の耐用年数50年)を踏まえ、鉄筋コンクリート造の施設について、建築後おおむね50年で検討しているものを、建築後70年以上を目標とする。

(2) 更新等の検討
前述(第2の2(1))のとおり、交番等では老朽、狭隘等が喫緊の課題となっている。
したがって、
■ 構造体別の耐用年数等を基準として、目視による点検を実施する中で、劣化が著しい場合
■ 物理的な狭隘の度合が著しく高い場合
等、通常の維持・修繕を加えても、課題の解消、安全性や府民サービスの確保、多様化する警察ニーズへの対応ができない場合は、改修等で対応し、代替策がない場合は更新を検討する。
  
(3) 維持管理体制の転換及び計画的な改修
勤務員による日常点検を実施し、それに基づく「修繕実施計画」を策定し、「事後保全型」から「予防保全型」へ維持管理体制の転換を図る。
計画的な改修として、建築後おおむね25年、50年を目処に、施設需要を踏まえた大規模改修の実施を検討する。

2 総量最適化・有効活用に向けた取組方針
◇ 施設の新設は、原則行わない。(新たなニーズに対応する場合は、既存施設の有効活用、転用を検討し、これらができない場合は、新設、増設を検討する。)
◇ 本格的な人口減少社会の到来に備え、治安情勢や人口動態の変化による個々の施設の需要見込みを踏まえ、次世代に継承可能な施設保有量を実現する。
◇ 人口動態や社会環境の変化等による新たな行政ニーズを的確に捉え、既存施設の有効活用による多機能化、転用等を進め、より少ない投資で柔軟に対応する。

交番等は、府民のための事務を行うだけの施設ではなく、地域の治安維持を担う地域警察官の拠点として、存在そのものが府民に安心感を与えることはもとより、安全センターとしての役割を果たしているところであるが、大阪府警察にあっては、前述(第2の1(3))のとおり、治安情勢等に鑑み交番等の総量最適化や有効活用を図ってきた。
今後も、狭隘解消等の環境改善のほか、警察事象の変化等新たなニーズに対する必要が生じた場合は、既存施設の有効活用、転用を検討し、これらができない場合は、新設、増設についても検討するとともに、将来的な治安情勢や人口動態の変化を踏まえた施設の減築、集約等も検討することで、総量最適化・有効活用に取り組んでいく。

待機宿舎編
平成28年9月

大阪府警察待機宿舎整備基本計画
大阪府警察

序 計画修正の趣旨
1 大阪府警察待機宿舎(以下「待機宿舎」という。)の整備については、平成22年11月、民間活力の導入や既存宿舎の大規模改修等により整備費用の抑制を図ることを目的として、大阪府警察待機宿舎整備基本計画(以下「計画」という。)を策定した。
2 平成23年11月には、整備手法の候補を精選し、整理統廃合宿舎等の見直しを行い、計画の一部を修正した。
3 平成26年2月には、平成25年3月8日に「大規模警備事案発生時の非常参集要領の制定について(例規通達)」が全部改正されたことに伴う待機宿舎部隊運用の変更、財政状況の変化等により、整備戸数、整備手法等の見直しを行い、計画の一部を修正した。
4 本修正は、待機宿舎を長期にわたり安全に使用できる取組、いわゆる長寿命化等の取組を追加するものである。

1 待機宿舎について
(1)  位置付け
待機宿舎とは、大規模災害等の発生時において、大量の警察力を迅速に動員し、初動措置を行うための体制を確立するために、警察職員を集団的に居住させる施設である。
(2) 現状
待機宿舎は、府下に世帯用宿舎28か所、2,712戸及び単身寮19か所、1,158室を保有している。

2 整備戸数
大阪の地理的状況や交通ルート等を踏まえ、大阪府域を大阪市内、北部、南部及び東部の4区域に区分し、大規模災害等発生時に初動措置を行う要員を確保するために必要な2,300戸(室)の整備を目指す。
また、待機宿舎全体の世帯用と単身寮の割合は、現在の大量退職に伴う新規採用者増に対応しつつ、将来にわたり高い入居率を維持することができることを考慮し、おおむね1:1とする。
なお、集団警察力確保の観点から大規模集約化を図り、費用対効果等を勘案して計画する。

3 整備計画
老朽・狭隘化した待機宿舎の解消と整理統廃合を実施し、総量最適化・有効活用に取り組んでいく。
(1) 整備期間
整備期間は、平成35年度までとする。
(2) 整備手法
ア 直接建設方式による整備推進
イ 大規模集約化の推進
世帯用宿舎を優先して整理統廃合・用途変更・改修等を推進する。
ウ 耐震化、大規模改修等による既存宿舎の継続活用
待機宿舎の更新時期は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(鉄筋コンクリート造の住宅の耐用年数47年)を踏まえ、建築後おおむね50年で検討しているものを長寿命化への取組として、建築後70年以上を目標とする。
ただし、点検・劣化度調査等を実施する中で、主要構造部のコンクリートの強度や中性化の進行を確認した結果において、劣化が著しい場合や居住水準が著しく低い場合等、通常の維持・修繕を加えても、居住環境が改善できない状態で、他施設の有効活用等の代替策がない場合に限り、更新を検討する。
エ 再編集約による財源の確保
本計画に基づく待機宿舎の新規整備は、再編集約により廃止する宿舎の土地売却益とする。
オ 公的経営住宅の借上げ、民間活力の導入等の継続検討
(3) 計画内容
3か所を建替えるとともに、借地宿舎を廃止及び府有地宿舎を売却処分する。
ア 新規整備(3か所)
○北1単身寮(仮称)は、現地建替え
○城東2単身寮(仮称)は、世帯用1・3号棟撤去後建替え
○淀川1単身寮(仮称)は、現敷地内建替え
イ 改修
計画的な改修として、建築後おおむね25年、50年を目処に、施設需要を踏まえた大規模改修の実施を検討する。   
建築基準法上の法定点検の活用に加え、法定点検では把握できない設備等の劣化状況について、「FM基本方針」に示された劣化度調査及び施設管理者による日常点検を実施し、「中長期保全計画」及び「修繕実施計画」を策定し、「事後保全型」から「予防保全型」への維持管理体制の転換を図る。
ウ 用途廃止及び売却処分
再編集約により廃止する宿舎について用途廃止し、府有地については速やかに売却する。
(売却処分)
堺南1待機宿舎、堺南2待機宿舎、住吉1待機宿舎、和泉2待機宿舎、茨木待機宿舎、吹田3待機宿舎、大東1単身寮、城東3待機宿舎、泉大津待機宿舎、吹田1待機宿舎、旭待機宿舎、吹田4待機宿舎、住之江1待機宿舎、堺北2待機宿舎、阪南1待機宿舎、池田待機宿舎及び堺1待機宿舎
(4) 計画終了後の整備
都市計画、建築関連等の法改正、あるいは警察事情等により待機宿舎全体の世帯用(戸)及び単身寮(室)数並びに配置バランスに変化が生ずることも予想されることから、弾力的に整理統廃合を検討し、整備を行うこととする。
(5) 計画の検証・見直し
計画に基づき、待機宿舎整備を着実に推進するため、新規整備、改修及び売却処分の状況を検証し、必要に応じて見直しを図ることとする。

改正経緯
平成22年11月 制定
平成23年11月 一部修正
平成26年2月 一部修正
平成28年9月 一部修正

交通安全施設編

第1 目的等
1 目的
本編における対象施設は、交通安全施設であり、本計画は、これらを最適な状態で維持、管理及び運営するための整備計画である。
本計画の取組期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間とし、取組の進捗状況を毎年度検証し、おおむね3年が経過した時点で必要に応じ見直す。

「交通安全施設」とは、交通の安全と円滑及び交通公害の防止を図るために、道路利用者のすべてを対象として設置される施設をいう。
これらの施設は都道府県公安委員会が設置する交通信号機、道路標識、道路標示及び交通管制センターと、道路管理者の設置する横断歩道橋(地下横断歩道)、歩道、自転車道、柵(防護柵)、街灯(道路照明)、視線誘導標、道路反射鏡、区画線等がある。
本編で対象としているのは、交通安全施設の中でも、都道府県(大阪府)公安委員会が設置する施設である。

2 役割
交通規制は、交通ルールの設定によって道路交通の安全と円滑を図り、交通事故を防止する重要な手段であり、交通安全施設は、その交通ルールを外部に表現する唯一の法的手段である。
交通安全施設は、安全、安心な道路交通環境実現のためには欠かせない施設であり、例年地域住民等からも多くの設置要望が寄せられている。

第2 現状と課題
1 交通安全施設の現状
交通安全施設は、高度経済成長期に大量かつ集中的に整備された道路上に、その整備に併せて大量に設置されてきたものであり、その老朽化が進んでいるなか、使用年数を超過した交通安全施設を継続して使用している状況である。
また、施設の種別によって使用年数が異なり、設置場所等の諸条件により老朽化の度合いも様々であることから、管理方法が複雑になっている。

平成27年度末時点における交通安全施設主要物件の数量を示すと、
交通信号機では、
○交通信号制御機が11,911機
○交通信号柱の鋼管柱が47,358本、コンクリート柱が4,911本、合わせて52,269本
○車両用信号灯器のLED式が46,392灯、電球式が33,870灯、合わせて80,262灯
○歩行者用信号灯器のLED式が38,146灯、電球式が26,392灯、合わせて64,538灯
道路標識では、
○灯火式を含む可変式道路標識が576本、同じく固定式道路標識が197,954本
○路上式と路側式に区分した場合では、路上式が37,134本、路側式が161,396本
道路標示では、
○横断歩道が50,439本
○実線標示が8,536㎞
○図示標示が244,165箇所
管制端末では、
○情報収集提供装置(光ビーコン)が4,741基
○車両感知器が8,810基、
○交通情報板が201基
○交通監視用カメラが219台
である。

交通信号機を例に挙げ、その使用年数の比較及び使用年数を超過した施設数を示すと、平成27年度末時点において、
○交通信号制御機の使用年数が19年、使用年数超過数は2,801機、超過数占有率は23.52% ○交通信号鋼管柱の使用年数が35年、使用年数超過数は9,459本、超過数占有率は19.97% ○交通信号コンクリート柱の使用年数が45年、使用年数超過数は1,134本、超過数占有率は23.09%
○車両用信号灯器(電球式)の使用年数が30年、使用年数超過数は11,809灯、超過数占有率は14.71%
○歩行者用信号灯器(電球式)の使用年数が30年、使用年数超過数は7,946灯、超過数占有率は12.31%
となる。

なお、交通信号柱に関しては設置場所の環境によって柱の根本の腐食度合い等に差異が見られることが多く、老朽化の度合いが異なるため、使用年数を超過しなくても更新が必要となる場合がある。

2 課題
交通安全施設の老朽化は急速に進んでおり、使用年数を超過した施設に対しての整備更新が追いついていない状況である。使用年数を超過することで、直ちに交通安全施設の機能が維持できなくなることはないが、時間の経過とともに老朽化が著しくなることで、
○交通信号灯器の滅灯
○交通信号柱・道路標識柱の倒壊
○道路標示の摩耗による視認性の悪化
等、安全で円滑な道路交通に支障をもたらす事態を引き起こす可能性が大きくなる。
府民等に危険を及ぼす事故が発生してからの事後保全では遅いため、施設の老朽化によって事故を発生させないよう点検体制の充実を図り、不具合が発生する前に予防的に改修や更新を行う仕組みを構築する必要がある。

第3 取組方針
1 長寿命化に向けた取組方針
(1) 長寿命化の検討
交通安全施設の長寿命化を図るためには、使用する部材に特殊な塗装を施したり、路側式道路標識柱内に鉄芯を挿入する等、抜本的な材料や仕様等の見直しが効果的であることから、下表の取組に続き、今後も長寿命化を推進する。

交通信号機は、
○平成22年度から二重管仕様で建柱し、表面の腐食が進行しても即時に倒壊する可能性を低減させ、加えて地際部分に防蝕塗装を施すことで、雨水や動物の尿による腐食への耐性を強化した。
○電球式からLED式へ高度化することにより、1年ごとの球替えが不要になることに加え、軽量化も図ることができ、交通信号灯器本体や交通信号柱への過重負担を軽減させた。

道路標識は、
○オーバーハング式道路標識柱は、平成15年度から溶融亜鉛メッキ仕様に変更し、腐食防止への対策を図った。
○路側式道路標識柱は、前述の溶融亜鉛メッキ仕様に加え、平成20年度から柱内へ鉄芯を挿入する仕様に変更し、表面の腐食が進行しても即時に倒壊する可能性を低減させた。

道路標示は、
○ガラスビーズを混入することで摩耗による減損を抑え、耐久性を向上させた。
○溶融式の塗料を2mm以上に厚塗りさせる仕様にすることで、摩耗等への耐久性を上げ、長寿命化を図った。

また、交通信号制御機、交通情報板といった電子機器関係は外見上の判断が困難なため、計画的な維持管理・更新と並行して、長寿命化につながるような技術があれば積極的にその採用を検討する。

(2) 更新基準
限られた財源状況から、使用年数を超過した交通安全施設を全て更新することは困難であり、使用年数と点検結果を踏まえて更新を図っていく。
交通信号機、道路標識及び道路標示、交通監視用カメラ等の交通情報を収集及び提供するための装置等については、職員による定期的な目視点検等を実施し、加えて交通信号機や可変式及び灯火式道路標識、交通監視用カメラ等の電源が伴う施設については、委託業者による専門的視点での点検を実施している。
それらの点検結果を踏まえつつ、海沿い等、設置箇所による老朽化要素の軽重も勘案しながら、更新箇所を選定する。
なお、委託業者による点検は、老朽化の度合いにより倒壊、落下の危険性が一番低いものを「Aランク」とし、「Eランク」までの五段階で診断を行わせ、倒壊、落下の危険性が認められる「Eランク」の施設が見つかった場合には、可及的速やかに更新または撤去を行う。
また、「Dランク」については、職員が現場で再度確認を行い、必要があれば確認内容を点検業者へフィードバックしてランク付けの評価に齟齬がでないよう情報交換する等、適切な維持管理を推進する。(ランクは、次頁の「点検結果報告基準表」に基づく。)
 
点検委託においては、これまでも予防保全の観点から目視、打音、触診のほか、交通信号制御機の電圧検査、コンクリート柱の非破壊検査等、点検内容を充実させているとともに、点検結果のランクの細分化を行う等、点検委託契約の更新ごとに仕様書をより良いものへ変更し、点検の実効性の向上に努めている。
なお、点検委託による点検結果は、データ集約、管理を行い、以後の維持管理に活用する。

点検結果報告基準は次のとおりとなる。
○交通信号柱、感知器柱、専用柱のランク区分は、外観等と基礎部分で判断する。
○材質がコンクリートの場合の外観等がAランクは異常なし、Bランクは亀裂がある、Cランクは亀裂があり鉄筋が見えている、DとEランクは亀裂があり鉄筋の腐食が著しい、老朽化コンクリート柱が機器による点検の結果、鉄筋の破断等が認められた場合となる。
○材質が鋼鉄の場合の外観がAランクは異常なし、Bランクは軽度の腐食がある、Cランクは腐食により柱(腐食部)が細くなっている、DとEランクは腐食により穴が開いている場合となる。
○基礎部分がAランクは異常なし、Bランクは小さなひび割れがある、Cランクは大きなひび割れがある、DとEランクは柱を揺らすとグラグラする場合となる。
○スタンド式交通信号灯器のランク区分はポールの外観と基礎部分で判断する。
○外観がAランクは異常なし、Bランクは軽度の腐食がある、揺すってもグラグラしない、Cランクは腐食により柱(腐食部)が細くなっている、DとEランクは腐食により穴が開いている、揺するとグラグラする場合となる。
○基礎部分がAランクは異常なし、Bランクは小さなひび割れがある、Cランクは大きなひび割れがある、柱を揺すると少しグラグラする、DとEランクは柱を揺らすとグラグラする場合となる。
○交通信号灯器は全体の腐食度合い、灯箱とレンズの外観で判断する。
○腐食度合いがAランクは異常なし、Bランクは灯箱、アーム、金具等に軽度の腐食がある、Cランクは灯箱、アーム、金具等の腐食が著しい、DとEランクは灯箱、アーム、金具等の腐食が著しく取付部分が損傷している場合となる。
○灯箱の外観がAランクは異常なし、Bランクは灯箱にへこみがある、Cランクは灯箱が変形しレンズ面と密着していない、DとEランクは灯箱に穴が開いている、又は取付部分が損傷している場合となる。
○レンズの外観がAランクは異常なし、Bランクはレンズに小さな亀裂がある、Cランクはレンズに亀裂又は曇りがあり視認性が悪い、DとEランクはレンズに穴が開いている場合となる。
○なお、EランクはDランクに区分される状態のうち、倒壊、落下事案が発生する危険性が認められ、緊急の措置対応が必要とされる状態をいう。 

2 総量最適化に向けた取組方針
老朽化した交通安全施設は安全で円滑な道路交通に支障をもたらす可能性があるため、将来かかると見込まれる維持管理費用も考慮し、総量を削減するために次の取組を行っていく。
交通信号機は、
○1機の交通信号制御機で2交差点以上の信号制御が可能なところは、交通信号制御機の削減を進める。
○車両用信号灯器のLED化による視認性の向上に伴い、交差点遠方からでも灯色が確認できるようになるため、同一方向へ向けた灯器が複数あれば、LED化に合わせて削減を進める。
○道路交通環境の変化等により、必要性の低減した交通信号機の削減に努めることとし、撤去のほか、再利用ができるものは移設を図る。

道路標識は、
○道路標識の更新については、都度の見直しを行い、安全性、視認性等も考慮し可能なものは道路標示への変更や1本の柱へ標識板を集約する等の合理化を検討し、柱等の削減を進める。
○将来負担の軽減及びLCC(ライフサイクルコスト)の最適化を図るため、可変式及び灯火式道路標識については、反射式道路標識への変更を進める。
 
道路表示ほかは、
○道路標示及びその他の交通安全施設の更新については、道路交通環境の変化等により、必要性の低減したものは撤去も含め検討する。

また、維持管理、更新に伴う取組を通じ、点検委託の結果等を踏まえた計画及び施工、適切な保有数の管理及び仕様の改善、データを活用した工事箇所の選定、というPDCAサイクルを構築し推進していく中で、必要な交通安全施設を選別して更新、撤去等を行っていき、総量最適化の実現に努める。

PDCAサイクルについて、
○PLAN(計画)では、点検、使用年数、老朽度及び長寿命化を踏まえた工事計画、設計や、新仕様機器等の仕様検討を
○DO(実行)では、施工(更新、新設、撤去)や、老朽度点検を
○CHECK(評価)では、ストック数の管理や、老朽度、更新年のデータ集約化を
○ACT(改善)では、点検委託仕様の改善や、老朽度データを活用した適切な工事箇所の選定を推進していく。

第4 その他の取組
1 長期的視点に立った維持経費の運用方針
1つの交差点において、各種工事を集約することにより、労務費の節約に努め、コストを圧縮した効率的な整備を図る。

また、交通信号灯器のLED化により電気使用量が節減されることから、LED化を推進し、維持経費の縮減を図っていく。

2 人材の育成と体制の確保
業務に必要となる専門的知識、技能がある職員の養成に努め、一定レベルの体制を維持することを目標とし、ベテランの職員から若手へと、技能の伝承、専門的知識の共有を図ることで、次世代への体制づくりを強化していく。
また、定期的に警察署の担当者を招集した会議を開く等、交通安全施設の点検体制の強化等、実情に応じた取組を検討する。

3 情報の収集、即時の体制
交通信号柱の倒壊事案等の特異事案が発生した際には、当該交通安全施設の製造年、メーカー、使用機材等の分析により原因究明を徹底し、以降の事案発生の抑止に努める。
なお、特異事案等の不測の事態に備え、24時間、365日即応できる体制を構築している。

おわりに

依然として厳しい治安情勢の下、府民が安心して暮らせる「安全なまち大阪」を確立するため、組織を挙げて諸対策を推進しているところであるが、警察力の基盤強化を図る上で、警察施設を充実させることは極めて重要である。
このため、大阪府警察では、本計画を基に、治安情勢及び社会情勢の変化に柔軟に即応しつつ、警察機能が最大限に発揮でき、多くの方々が共生できる施設環境の整備に取り組んでいく。